新品家具・家電のサブスクリプションサービス「サブスクライフ」を展開する株式会社ソーシャルインテリア。「よいものが、循環する社会へ」をミッションに掲げ、従来の家具業界にはないアイデアとビジネスモデルで、業界の革新とイノベーションに挑み続けています。今秋、インテリア業界における受発注業務の効率化を実現する「ソーシャルインテリア業務管理クラウド」の提供を開始する予定です。

フルフィルメンツ(以下「FFL」)では、システム開発全般のご支援を実施させていただき、現在もなお新機能の開発など、さらなるアップデートに向けて取り組んでおります。今回は、ソーシャルインテリア業務管理クラウドの開発当時のエピソードをソーシャルインテリアの皆様に伺いました。

事業立ち上げのきっかけについて

FFL 小松 本日は宜しくお願いいたします。

ソーシャルインテリア町野 CEOの町野です。宜しくお願いします。

FFL 小松 まず始めに、今回システムの設計/開発をご支援させていただいた「ソーシャルインテリア業務管理クラウド」について、事業の始動に至った経緯を教えてください。

ソーシャルインテリア町野 当社は、家具のサブスクリプションサービスから事業をスタートした会社です。現在はブランド家具・家電をお得にご利用いただけるオフプライスマーケットも運営しており、約600ブランドの家具・家電を取り扱っています。取り扱う商品は全てメーカー様から仕入れているのですが、メールや電話など手間がかかるやりとりが多く、どうにか業務を効率化できないかと考えていました。メーカー様にヒアリングを重ねていくと皆さま同様に悩まれており、これはサービス化できると直感して事業の企画をスタートしました。創業当時には全くなかった発想で、事業拡大の過程で必然的にみえてきたものですね。

FFL 小松 具体的にはどのようなケースで手間がかかっているのでしょうか。

ソーシャルインテリア町野 例えば当社のようなオフィスのコーディネートを行う会社では、クライアント様との一回のお取引で、20ブランドの商品を取り扱うというケースがあります。当社は各家具メーカー様とコミュニケーションが必要になり、見積の取得/発注処理を20ブランド各社様にそれぞれ実施することになります。単純に椅子を一脚納品する、ということではなくオフィスのコーディネートになりますので、細かな仕様の確認、納期の管理等さまざまな調整業務が発生します。ご想像の通り膨大な時間と手間がかかってしまうので、システム化した方がいいですよね。こういった業務を横断的に管理するプラットフォームは、ほうぼう探してみましたが、見つかりませんでした。であれば、インテリア業界に特化した理想的なシステム我々で作ってしまおうと。

開発パートナー選定の経緯について

FFL 小松 開発パートナー選定においては、時間をかけて検討をされていた印象があります。今回は何社ぐらいにお声かけされましたか?

ソーシャルインテリア吉種 プロジェクトリーダーの吉種です。今回お声かけしたのは全部で30社です。具体的なご提案をいただいたのは、貴社を含めて4社でした。

FFL 小松 30社コンペということですね……! 10社でも多いと感じますが、30社というのは初めて伺いました。30社の中からご選定をいただき誠にありがとうございます。具体的な4社の提案実施会社を選ぶまでのポイントはどういった部分だったのでしょうか。

ソーシャルインテリア吉種 まずは、各社様のご提案に当たっての「スタンス」を中心に検討させていただきました。例えば技術的な要望をお伝えした際に、「じゃあ、こうしてみましょうか」と意見が出てくるか、「どうしたいんですか?」と指示待ちになるか。前者のように「事業会社サイドといっしょになって考えてくれる」ことが第一の選定の基準になりました。

FFL 宇野 はじめに事業構想をお伺いした際に、開発担当させていだけるかどうかはさておき、絶対にニーズがあると思ってそのようにお伝えしたんです。私たちは作り手なので、よい仕組みを作ることに携わらせていただけることは非常にうれしく、提案にも熱がこもったことを覚えています。

ソーシャルインテリア町野 いやー、嬉しいですね。フルフィルメンツさんのご提案前の対応は、QAから電話の問い合わせからピントがあっているなと感じることが多く、我々としてもお仕事をお願いしたいなと感じる要素になりましたね。コスト面ではもっと安く出してくれる会社さんもありましたが、一緒に新事業を成功させたいと感じられたことが大きかったです。

FFL 小松 当社の熱意が伝わっていたようでうれしいです。提案の内容では、どういった部分を重視されたのでしょうか。

ソーシャルインテリア吉種 そうですね、提案依頼書「実際に担当するPMの方が説明してください」と明記しており、実際に案件を担当くださるメンバーをしっかりみていました。提案時に「このメンバーで取り組みます。自信あります。」とすぐに出してくださったのは貴社だけでした(笑)。相当自信があるんだなと社内で話していました。貴社はオフショアを含む体制でご提案をいただきましたが、品質管理面では貴社の日本側メンバーの中で品質管理をパッケージングして提供しているということで安心感がありました。あとは、今回業界にないプロダクトを内製化せずに作るということで、色々なハードルを一緒に乗り越えてくれるパートナーとして一緒にやっていけるかをすごく重視していたんです。ちょっとわからないなと思った部分相談をするとオンラインではなくオフラインで何度も足を運んでくれて。そういった細かい積み重ねや波長も含めて、パートナーとして一緒によいプロダクトが作れそうだなと思いました。

ソーシャルインテリア町野 スタートアップって基本は内製化だと思うんです。ただ、当社はあえてそうしていない。そうしたときに、パートナー様にも事業者サイドの視点を持って取り組んでくれるかという点がすごく重要でした。

FFL 齋藤 プロジェクトマネージャーの斎藤です。当社で担当させていただくシステムは世の中によくあるものではなく、新しい要素を取り入れたものが多いです。もちろん社内のナレッジはありますのでその積み重ねで作っていく部分も多くなりますが、常に新規性のあるものを作ってきた社内文化があります。プロジェクトに合わせて、最適なチームビルディングをしていくという当社のスタンスも今回のサービス構築には合っていたのかなと思います。

開発時のエピソード

FFL 小松 開発に着手したのが、2021年夏頃だったと聞いています。開発時のエピソードをお伺いしたいです。

ソーシャルインテリア小野 プロジェクトマネージャーの小野です。ソーシャルインテリア業務管理クラウドは、そもそもスタンダードがない状態で始めなければいけないところが難しかったです。正解がわからず、要考えているうちに何度も仕様のイメージが変わったり……という状態でした。

FFL 宇野 システム作りではなく、業務プロセス作りからのスタートですよね。

ソーシャルインテリア小野 そうなんです。頭では完成していても、いざ形にしてみると「あれ、これちょっと違ったかも……」ってことも往々にしてありますよね。今回、フルフィルメンツさんとご一緒して良かったのは、クライアントの指示通りに構築するだけではなく、客観的な意見を出してくれたところです。

ソーシャルインテリア吉種 デザインは、「あれ?フロントデザインも斉藤さん?」と錯覚するくらいサポートいただきました(笑)。システムの中身ではなく、UI/UXに関しても我々が困っていると、「じゃあ、こうするのはどうですか?」って案出しをしくてれたのが非常にありがたかったです。斉藤さんからの意見をきっかけに、仕様を変更した部分も多数ありました(笑)。

FFL 齋藤 要求事項を伺った上でフロントデザインを見たら、要求事項のはずの取引の流れが全く理解できなかったんです(笑)。業界知識のある方であれば使えるのだろうとも思いましたが、それでも使い勝手は悪くなりそうだと思ったのでストレートにお伝えしました。まずは意見を聞いてもらえる雰囲気があり、とてもやりやすかったです。

ソーシャルインテリア橋本 プロダクトマネージャーの橋本です。そのやりとりすごく覚えてます。「確かに……!めちゃくちゃいいですね!」って会話しましたよね(笑)。ちゃんと伝えてもらえたことがすごく嬉しくて。真剣にいいものを作ろうと考えてくれているからこその意見じゃないですか。パートナーとして同じ目線で取り組んでくれていると感じた瞬間でした。

ソーシャルインテリア吉種 言われた通りに作ればトラブルにはなりませんよね。そこを、「こうした方がいいんじゃないですか?」って、ある意味で受託側としてはリスクになり得ることをわざわざ意見として出してくれて。客観的な意見を受け入れて、変更して、より良いプロダクトを作っていくという動きができたのは、かなりレアな体験だったなと感じています。

FFL 小松 ベータテスト開始時期が決まっている中でのプロジェクトだったと思いますが、スケジュールの面では何か工夫はあったのでしょうか。

ソーシャルインテリア吉種 デザイン以降のフェーズからフルフィルメンツさんに構築を依頼していたのですが、システムのフロントデザインが1ヶ月ほど遅延してしまったんです。そうしたところ、「このパートなら着手できます。ただ、こういうリスクがあります。最終的には納期が伸びてしまうかもしれません」と率直に調整事項をあげてもらえて、本当にありがたかったです。

FFL 齋藤 QCDの各要素の優先度が明確だったので、どこを調整するかを会話していくことができました。私たちとしても、優先順位の認識合わせが具体的にできて、とてもやりやすかったです。

ソーシャルインテリア吉種 「前工程が遅れたからサービスインも遅れます」ではなく、「今、弊社としてやれることベストはこれです」という言い方で、日ごろご提案をいただいていたことを覚えています。正直なところ、納期に間に合ったことに本当に驚きました(笑)。単純に前工程が一か月遅れて、サービスイン日は変更しませんでしたから。

ソーシャルインテリア町野 本当にありがたいですね。トラブルの時こそ、お互いの本性が出ますから(笑)。短期間ではあったと思いますが、信頼関係を積み重ねながらプロジェクトを進行いただけたと感じています。

今後について

FFL 小松 ソーシャルインテリア業務管理クラウドのベータテスト、正式ローンチに向けたマイルストーン、ベータテストの状況などを教えてください。

ソーシャルインテリア橋本 今年の春に、初期開発プロダクトをベータ版としてローンチし、サービスをプレオープンしました。メーカー様を中心に数十社様にご利用いただいています。反応は非常によいです。

ソーシャルインテリア町野 これから先は、いかにPMF(プロダクトマーケットフィット)するかですね。今後は発注サイドにフィットする機能追加を進めて、PMF度合いを高めていくのが今後の取り組みの中心になるのかなと思います。

ソーシャルインテリア橋本 プレオーブン前からプロダクトの出来に自信はありましたが、プレオープンしてあらためて、ベースが良かったなと感じています。今のところ、この機能は使えないねというものはなく、すべて継続的な改善ができる状態となっています。ベースになる機能のすりあわせをフルフィルメンツさんにもご意見いただきながら検討できました。事業ファーストで考えていただけるのがとても助かっています。

ソーシャルインテリア町野 作り直さなくていい、というのはかなり大きいポイントだよね。

FFL 小松 これから本番だと思いますが、サービスが拡充されていくのが楽しみですね!

ソーシャルインテリア町野 このサービスの構想は、とにかく誰に伝えても滑り知らずなんですよ。複雑に作ることは誰でもできるので、UI・サービス・システムの全てをいかにわかりやすく提供できるか。まだ我々にも見えていない部分をいかに短期間で収束していくか。今後の重要なミッションですね。成功はたまたまではなく必然的に起こるんですよね。これまで我々の会社も、色々なことが必然的に起きて今があります。今後もその点を驕らずにやっていけば上手くいく。その点に関して自信がないことは、1ミリたりともありません。そして、関わってくださるパートナーの皆さんと成功体験を共有していきたいですね。まさに新規事業の醍醐味だと思います。システム作りのみならず、仕組みを動かしている人、仕組みを使ってくださるみなさんと一緒にゴールを目指していきたいです。

FFL 宇野 ありがとうございます。まだまだサービスの進化は続いていくと思います。引き続きご支援をさせていただきますので、よろしくお願いします。